投資は、数字やデータだけでなく、心理学も重要な要素です。自分の感情や思い込み、先入観などが、投資判断に影響を与えることがあります。これらの心理的な偏りをバイアスと呼びます。バイアスによって、合理的でない行動をとってしまうことがあります。例えば、自分の持っている株が下落しても、売らずに持ち続けてしまう「損切りしないバイアス」や、自分の予想が当たったときには自分の能力のおかげだと思い、外れたときには運や他人のせいだと思う「自己帰属バイアス」などがあります。
では、どうすれば、バイアスに気づき、それを克服することができるのでしょうか？ここでは、投資における心理学と、自分の感情やバイアスに気づくためのテクニックを紹介します。
投資における心理学の重要性
投資は、将来の不確実性に対して、現在の資産をどう配分するかという問題です。そのため、投資判断には、リスクやリターン、期間や目的などの客観的な要素だけでなく、自分の主観的な感情や価値観も関係します。例えば、同じリスクやリターンの商品でも、自分が興味や信頼を持っているものや、周りの人が推奨しているものに対しては、よりポジティブに評価する傾向があります。逆に、自分が嫌悪や不安を感じるものや、周りの人が否定しているものに対しては、よりネガティブに評価する傾向があります。
このように、投資判断は、客観的な要素だけでなく、主観的な要素も影響を受けます。しかし、主観的な要素は、自分では気づきにくいことが多く、無意識に行動を左右してしまいます。これがバイアスです。バイアスは、人間の心理的な特性や環境的な要因によって生じます。例えば、「確証バイアス」というものがあります。これは、自分が信じていることや期待していることを裏付ける情報に注目し、反対する情報を無視したり否定したりする傾向です。このバイアスによって、自分の判断を正当化しようとしてしまいます。例えば、「株価は上昇する」という予想を持っている人は、「株価は上昇する」というニュースや分析に目が行きやすく、「株価は下落する」というニュースや分析は見逃したり信用しなかったりします。
このように、バイアスは投資判断を歪めてしまう可能性があります。そのため、投資における心理学は非常に重要です。自分の感情やバイアスに気づき、それらをコントロールすることで、より合理的で効果的な投資ができるようになります。
自分の感情やバイアスに気づくためのテクニック
では、どうすれば、自分の感情やバイアスに気づくことができるのでしょうか？ここでは、いくつかのテクニックを紹介します。
1. 自分の感情や思考を記録する
自分の感情や思考は、自分では気づきにくいものです。そのため、自分の感情や思考を記録することで、客観的に見ることができます。例えば、投資日記をつけるという方法があります。投資日記とは、自分が投資を行ったときの理由や判断基準、感情や反省などを書き留めるものです。投資日記をつけることで、自分の投資パターンや傾向、成功や失敗の原因などを分析することができます。また、自分の感情や思考に影響を与える外部要因も記録することができます。例えば、「今日は仕事が忙しくて疲れていた」「友人から株の話を聞いた」「テレビで経済ニュースを見た」などです。これらの要因も、自分の投資判断に影響を与える可能性があります。投資日記をつけることで、自分の感情やバイアスに気づくことができます。
2. 他者の意見や視点を参考にする
自分の意見や視点は、自分に都合の良いものになりがちです。そのため、他者の意見や視点を参考にすることで、自分の盲点や偏りに気づくことができます。例えば、信頼できる人や専門家にアドバイスを求めるという方法があります。他者にアドバイスを求めることで、自分では気づかなかった問題点や改善点などを指摘してもらうことができます。また、他者の意見や視点は、自分の意見や視点と異なる場合もあります。その場合は、その違いに対して理由や根拠を聞くことで、自分の判断に対する確信度や妥当性を検証することができます。他者の意見や視点を参考にすることで、自分の感情やバイアスに気づくことができます。
3. 自分の判断に対して疑問を持つ
自分の判断は、自分では正しいと思っているものです。しかし、自分の判断は必ずしも正しいとは限りません。そのため、自分の判断に対して疑問を持つことで、自分の誤りや偏りに気づくことができます。例えば、「仮説検証」という方法があります。「仮説検証」とは、自分が持っている仮説（予想や推測）に対して、それを否定する証拠（反例や反論）を探すことです。この方法は、「確証バイアス」を克服するために有効です。「確証バイアス」は、自分が信じていることや期待
していることを裏付ける情報に注目し、反対する情報を無視したり否定したりする傾向です。このバイアスによって、自分の判断を正当化しようとしてしまいます。例えば、「株価は上昇する」という仮説を持っている人は、「株価は上昇する」という情報に目が行きやすく、「株価は下落する」という情報は見逃したり信用しなかったりします。この場合は、「株価は下落する」という仮説に対して、それを支持する証拠を探すことで、自分の判断に対する自信や根拠を見直すことができます。自分の判断に対して疑問を持つことで、自分の感情やバイアスに気づくことができます。
まとめ
投資における心理学とは、自分の感情やバイアスに気づき、それらをコントロールすることで、より合理的で効果的な投資ができるようになることです。自分の感情やバイアスに気づくためのテクニックとして、以下の3つを紹介しました。
- 自分の感情や思考を記録する
- 他者の意見や視点を参考にする
- 自分の判断に対して疑問を持つ
これらのテクニックを実践することで、自分の投資判断を客観的に見ることができます。また、自分の投資判断に対して常に慎重で謙虚な姿勢を持つことも大切です。投資は、心理学だけでなく、経済や金融などの知識や技術も必要です。しかし、知識や技術だけでは、感情やバイアスに左右されてしまう可能性があります。そのため、心理学も重要な要素です。心理学を学び、自分の感情やバイアスに気づき、それらを克服することで、より良い投資家になることができます。
コメント